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DJ 木村コウ
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DJ 木村コウ

オフィシャルサイト>>http://www.futic.com

クラブ創成期から現在まで常にダンスミュージックシーンをリードし続ける国内ハウス界のトップDJ、木村コウさん。今年でプロDJ歴24年目を数え、最先端の選曲とクオリティー高いミックスセンスで、ハウス/テクノ/プログレッシヴなどの枠を超えた独自のスタイルを確立しています。今回は、世界中でプレイを披露している彼に、Scratch Liveについてのお話を聞きました。

photo by geoff johnson(www.geoff-johnson.com)

「ソフトが軽くて安定してるっていうのが特に重要ですね。」

■木村さんはScratch Liveユーザーですよね。使い始めたきっかけは?

まずPC使う前に、今から5〜6年前ぐらいからCDでプレイしてました。その当時でも、既にCDターンテーブルはどこのお店にもあって定着した感じがあったし、海外の仕事などはレコードは重くてかさばって困る。それに、その時代あたりからプロモの曲(※1)の配送方法ってCDやネットでのダウンロードだったので、アナログレコードだけでCDをかけてないってことは、ただお店で売ってる曲をかけてるってだけみたいで、なんか自分が時代に乗り遅れたDJな気がしてかっこ悪いなって思ってたんですよね。で、なるべく全部CDにしようって思って。そしてCDにしたら断然CDのほうがアナログより安定していてDJがやり易くなったんですよ。

■それからPCに移っていったんですね?

そう。まず、CDって焼くの面倒だし、1枚に9〜10曲入れて焼いて、そのCDの殆どの曲に飽きてしまって、その中の1曲しか使わなくても、その1枚を現場に持っていかなきゃいけない。CDブックはけっこうな大きさでかさばるし。探してる曲があったらCDブックをめくって、「あの曲は3ページ目の右上の段の4曲目にあった筈、、、」って覚え方してたんですけど、使わないCDを抜いて一回CDブックを整理したらどこにどの曲があるかわかんなくなるんです(笑)。そういうの、何とかならないかなーって思ってたんです。また、いくら軽いCDといえど200枚を越えると結構重くなるし。

■やはり物理的に音源がデーターになって便利になったと。

そうです。あと、例えば「さっき曲作ったからメールで送っておいたよ」って言われても、その場にカラCDがないと焼けないからプレイ出来なかったり。そして、その一曲だけのためにCD焼いてもまたかさばるし・・・って感じで。

■PC使うのは、最初は抵抗ありましたか?

まずソフトの信頼性が心配でした。プレイ中にソフトが止まったり、PC本体がフリーズするのはありえない。アナログで針を上げちゃって、「しまった」と思ったら針をまた置けばいいんですが、コンピューターが止まったらもう終わりですよね。再起動に1分2分かかるわけだし。そういう心配があって、PCに移行できなかったんですが、3年前ぐらいから、周りの評判でScratch Liveだったら確実に安定していて大丈夫だということで・・・。

■なるほど。Scratch Liveのソフトは安定してますからね。

僕はこれまで、つまんない人為的トラブルが原因で止まった事はありますが、Scratch Live本体が原因では1回も止まったことがないです。やっぱりソフトが軽くて安定してるっていうのが特に重要ですね。

「これからは、デジタルに合わせてくるお店が多くなってくると思いますね。」

■音質について、いつもデーター音源とアナログレコードの音は議論になりますが・・・?

アナログ擁護派の人は言わないですが、アナログレコードでも本当に音が悪い盤って一杯ありますよね(笑)。特に片面2曲のレコードは内側の曲が全然ダメな方が多いです。また、お店(クラブ)がアナログ音源用にEQしてるから、音が悪い気がしちゃうだけ。デジタルに合わせてEQしてるクラブはデジタルでいい音が出せます。アナログのほうが音圧があるとか、音がいいっていうのは僕は全く無いと思います。結局、どっちもいい所があって、どっちか片方がいいっていうのはないですね。お店がどっちに合わせてるか、って事だけです。アナログに合わせているお店は、僕がプレイするとデジタルだからシャカシャカ気味になっちゃうし、逆にデジタルに合わせてるお店はアナログより100倍綺麗に出るし。そしてこれからは、サウンドシステムのハード的にもデジタルに合わせてくるお店が多くなってくると思います。また、ソフト的にも、今リリースされる新譜のほとんどがデジタルデーターでリリースされてて、アナログだとその大部分が使えなくなるわけですからね。

■ところで木村さんは、Scratch Liveのコントロールはアナログターンテーブルですか?

CDターンテーブルです。ヒップホップの人はスクラッチするからアナログターンテーブルですが、僕はテクノ・ハウス系なので、スクラッチする機会がないですからね。安定性や利便性、ミックスのし易さからするとCDの方が絶対に有利です。また、たまにCDターンテーブルの調子が悪い時は、Scratch Liveのインターナルモード(内部再生モード)だけでやってます。前の人の時間が押しちゃって、機材を接続する時間がない時なんかは、ライン1本でとりあえず接続してインターナルモードで何曲かミックスしつつ、その間に接続を終わらせる、なんてこともあります。インターナルモードは便利ですよ。

■ライブラリー(音源)は外付けハードディスク?

いえ、内部ハードディスクです。外付けを読み込む時にほんの少しレイテンシー(※2)があったりして気になるから。さらにスペックの低いコンピューターで5時間とかDJ続けた後だと、読み込んでる時に波形が軽く引っかかる感じで止まっちゃう事が一瞬あったり。Scratch Liveのいいところは画面が止まっても音が止まらないってことだけど、波形が一瞬でも止まっちゃうのは気分的にあんまりよくないですよね。そして、USBケーブルでも音が変わるって言われてるのに、外付けにするとケーブルも倍になるわけで、その分、音の劣化や別のトラブルの原因にもなるかもしれないので、トラブル予防という面でも内蔵ハードディスクにしています。

■データー形式は?

今は、殆ど全部MP3です。でもビットレートは320以外の物は使いません。AIFFやWAVでもいいけど、曲をいっぱい運ぶことを考えるとMP3が楽なのと、メールで届くプロモもMP3だからって理由で。欲しい人はWAVもリクエストすればレコード会社は送ってくれるけど、WAVはダウンロードに時間かかるし。いい曲かどうかわからない様な曲のダウンロードにそんな時間かけても手間なだけですよねぇ。

■MP3とWAVの音質のについてはどう思いますか?

すごく良い音のスタジオとかで聴けば違いは判りますが、優秀なエンコーダー(※3)を使って作った320KbpsのMP3と、原音のWAVの音ってナイトクラブでかける分には全然判りません。実は実験的にAgeHa(※4)やYellow(※5)などの都内有名クラブ数店で元曲はWAV、そして、それをちゃんとエンコードしたMP3の曲データーとでScratch Liveの左右のデッキに同じ曲を読み込んで、全く同じタイミングでかけてクロスフェーダーを左右に動かしたりして聴き比べましたが、全く違和感無くてどっちがどっちか判りませんでした。ミックスCDとか作るなら別ですが、現場でプレイするのを重視するとすれば、MP3の320Kbpsで十分です。

■曲の整理の方法は?検索はどうしてますか?

僕はiTunesのプレイリストを使ってます。例えば2009年のフォルダーを作って、その中に「2009年5月の1週目に手に入れた曲プレイリスト」、その次に「2009年5月の2週目に手に入れた曲プレイリスト」みたいなのを作る、という感じで分類してます。で、さらにそのプレイリストの上の方が早い時間にかけそうな曲、下の方が遅い時間にかけそうな曲って感じで時間軸で並べてざっくり分類してます。そうすれば「上の方を見れば早い時間の曲だ」とかだいたいわかるから便利です。各々の曲にはコメント入れて整理していて、"途中でピアノフレーズ"とか、"ザーって音が入る"とか。それはみんなそれぞれ覚え方が違うとは思いますが、自分がどの曲か判り易いように書いています。また、最近はダウンロードサイトでもジャケット画像をつけてくれるから、覚えやすくなりました。

■Scratch Liveで気に入ってる機能は?

Scratch LiveのいいところはWaveForm(波形)が見やすい事です。低音・キックドラムは赤、中音〜高音はグリーン〜青と色分けされて、曲の構成が「色」で見えるのが便利です。次の展開はどうなってるかな・・・ってわかるので。波形が細かく見えるので「8小節目の最後の1拍だけキックドラムが抜ける」みたいな細かい事も目視できていいですね。ループ機能もかなりいいです。あとは、BPMが数値で出るから、前の曲に合わせて1BPM×0.8%で計算して、さっさと曲の頭だしをする前に先にピッチコントローラーを動かして合わせちゃってたり、、、。アナログの人からすると「ずるい」って言われるかもしれませんが、デジタルの強みって事で(笑)。でも、プレイ中に余裕ができるので、より一層選曲を工夫したりもっとクリエイティブなことに時間が使えます。あとはキューとかループとか、よく使いますよ。ミックスする時は、最近は大体最後の部分をループさせてからミックスしてますね。

「PCでDJするようになって、完成度が高いDJになったと思う。」

■Scratch Liveを使うようになって、DJプレイは変わりましたか?

今は完全にPCでDJするようになって、レコード盤の溝の光沢を見る以上に曲のデーターを目視で把握出来る様になったのでかなりいい感じです。その膨大なデーターの元に安定した緻密なプレイができるから、完成度が高いDJになったと思います。たまに懐メロ特集とかでアナログをかけなきゃいけない事があると、不安定だから実はかなり嫌だったり(笑)。PCだと、「ここをいつもの様に4小節ループ出来たら綺麗にMIX出来るのに・・」って場合も、アナログだと突然変な終り方する曲もあってミックスが綺麗にいかず、完成度も低くなるし・・・。ファーンってきれいな音が鳴って抜けてる時にレコードの傷の音がプツプツいってるのって下がりますよね。針も飛びやすいしハウリングもするし。もうアナログには戻りたくないのは勿論ですが、CDにすら戻りたくないです。CDは利便性に安定性もあり、ループとか出来るのはいいんですが、結局プレイ中に目視で入手できる情報量がPCに比べて圧倒的に少ないですね。実際いちいちCDを焼くのも面倒だし・・・。CDでDJやってる人は、いつかPCを使いだしたら圧倒的にPCがいいと感じる筈です。だから、どうせ将来的にPCになるなら今から早めにやっておいたほうがいいですよね。今のうちからやっておけば、あと3年後に「オレ随分と前からPCでDJやってたよ」って先輩顔で言えるから(笑)。

■今度、"Scratch Live SL3"が発売されるんですよ。

24-bit?いいですね!ソフト自体もいつか3デッキになるんですか?[-なる予定です。(実物を見せながら)ここのAUX入力にミキサーのメインアウトを接続すると、録音できます。]それはいいですね!僕はMP3録音プレイヤーを外付けしてるから。でもこれは前からだけど録音形式が決められてるのと録音時間が限られてるのがちょっと残念かな。[ -そうですね(苦笑)。ソフトのバージョンアップで改善して欲しいですね!]。

■今日はたくさんいいお話が聞けました。ありがとうございました!

今、デジタルのデーターのみでDJやるっていうテーマで"REC●"というパーティーやってます。アナログは1枚も使わないってパーティーです。デジタルは音悪いって言う人が多いから、そうじゃないんだよっていう啓蒙活動の意味も含めて。毎回、クラブのオープン前にちゃんと専属のエンジニア呼んで、いろいろケーブル変えたりして時間かけてサウンドチェックして、今時っぽい分離がいい「今一番東京で音がいい空間」って言える位、綺麗な音が出てると思いますよ。是非チェックしてみて下さ〜い!

  • ※1 レコード会社から宣伝用に配布されるサンプル。
  • ※2 データー転送の過程で生じる遅延時間。
  • ※3 データー圧縮ツール。ここではWAV形式をMP3形式に変換するツールのこと。
  • ※4※5 都内の有名ナイトクラブ。Yellowは2008年6月に惜しまれながら閉店。

長時間にもかかわらず快く笑顔で答えてくれた木村さん。インタビューの後、颯爽とDJブースへ向かった姿にプロのこだわりを感じました。ぜひ木村さんのイベントで彼の作り出す音を体感して欲しいと思います。(2009年5月)

Profile DJ 木村コウ(FUTIC RECORDINGS TOKYO)

http://www.futic.com/

http://www.kokimura.com/

http://www.myspace.com/djkokimura

http://www.modewarp.com/

パワフルなプレイでクラブに来る人を確実に楽しませ、ハウスファンのみならず他ジャンルを嗜好する音楽ファンをも魅了しているトップDJ。惜しくも2008年6月に閉店した伝説のクラブYELLOWでマンスリー・パーティー"KOOL"(毎月最終金曜開催)を12年間継続し、ハウスシーンに大きな影響を残したキムラコウが新たに打ち出したパーティーが "REC●"(レック)。キーワードは「デジタル」。デジタル音源を使ったDJサウンドを最大限に表現し、パーティー開催ごとに楽曲をデジタル配信する。偶数月第4金曜の代官山AIRをホームベースに、神戸や高松など全国各地でも開催。都内では他にも"HOUSE"@WEDGE(奇数月第1金曜)、"LOW CAMP" @ SECO(第3水曜)のレジデントパーティーで活躍。日本各地でのプレイのほか、海外でのDJのハイライトの一つは97年ロンドンクラブシーンの代表格Ministry Of SoundメインフロアでDJしたこと。その後もシドニー、メルボルン、グアム、ドイツ、アムステルダムなどでもプレイ。また香港、マカオ、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、台湾、上海や広州などのアジア都市でも度々プレイし、最近は東欧や南米でもDJしている。

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