蔦谷 楽様映像インスタレーション作品「ピジンゴのインコ」にて
薄型で目立たないコラムスピーカーBEC AkustikのICシリーズを採用
川崎市 岡本太郎美術館にて2025年7月19日~10月19日まで開催された「戦後80年《明日の神話》 次世代につなぐ 原爆×芸術」展は戦争や被爆の記憶を次世代につなげる展覧会です。80年前の戦争の記憶を起点として、現在の私たちを取り巻く様々な問題を題材に、独自の視点で表現する9組の作家の作品を紹介しました。その中の作家のひとり、蔦谷 楽様のインスタレーション作品「ピジンゴのインコ」にて多チャンネル音源の拡声としてBEC AkustikのICシリーズスピーカーが採用されました。 スリムで目立たず設置できるICシリーズが導入されたことによる効果を学芸員である片岡 香様と加藤 志帆様にお伺いしました。
今回の展覧会での「ピジンゴのインコ」はどのような作品なのでしょうか?
片岡氏:鳥かごの奥に映像作品があり、その手前に絵画作品が掛けられ、横にビラが置かれる、という形で作品は構成されています。歴史のトラウマを再解釈して既存の物語を現代の視点で昇華させた作品です。
音響に関しては鳥かごの中で映像の声や環境音、効果音などが5.1chで表現されています。
今回の展示会は会場構成としてすわ製作所の眞田大輔さんに協力していただき、眞田さんから音響システムデザイン、音響調整として株式会社ソナさんを紹介していただきました。作家さんを含めた皆さんでどのような機材、構成で展示を行うのがベストかを考え、今回の展示方法が採用されました。
実際にはどのような音響システムだったのでしょうか?
片岡氏:サブウーファーに加え、プロジェクターから投影した映像の両脇、センター下部、および後方に2本のスピーカーを設置した5.1ch構成です。サブウーファー以外は全てBEC AkustikのICシリーズです。今回の展示は鳥かごのような構造物の中に作品を収めており、その中で音響が完結する、という形にしたかったので、その他の展示に影響を与えないためにも展示エリア内で効果を発揮するものが求められました。ICシリーズは非常に直線的な音響効果があり、鳥かごの中でいろいろな位置から音が出てくる、という表現には適していましたね。
今回の展示で苦労した点はありますか?
加藤氏:やはり音を立体的に演出することです。音には作家さんもこだわられていて、複数の人の声や銃声、爆音などの様々な効果音が複数の場所から出てくる形になっています。事前に音源データをいただき、美術館が保有しているスピーカーで実施しようと考えていたのですが、株式会社ソナさんとも協議し、音にもよりこだわってみようということになりました。作家さんがイメージする展示空間に合う機材選定を行い、ICシリーズを採用することになった次第です。
片岡氏:音と映像の作り込みが同時進行だったため、作家さんにもぎりぎりまで調整を頑張っていただきました。スケジュールも厳しかったので、スタジオなどで検証する時間もなく、会場でぶっつけ本番のような調整となったのが大変でしたね。
スピーカーの形状、スタイルに関してもこだわりはあったのでしょうか?
加藤氏:やはり目立つ形のスピーカーを使ってしまうと展示空間のイメージを崩してしまうので、どのスピーカーを使うのか、というのは自分たちと株式会社ソナさん、作家の蔦谷さんで協議を重ねました。蔦谷さんはアメリカにいらっしゃったのでオンラインで参加いただきました。
株式会社ソナさんも事前に音源を確認し、この音であればBECのスピーカーが良いのではないかと推薦をいただきました。BECのスピーカーは棒のように細く、奥行きも薄いので展示を邪魔しないため非常に良かったと思います。
展示会でのお客様の反応はいかがでしたか?
片岡氏:自分たちが見る限り、じっくり見る方々が非常に多かったという印象です。映像作品の展示は意外と難しく、長い時間しっかりと見る方はあまりいません。今回の作品は約20分の長さのものでしたが、映像に加えて音もしっかりと聞こえてくるので、かなり長い時間、じっくりと鑑賞する方々が多くいました。
加藤氏:今回の展示では鳥かごの中にベンチを置いているのですが、ベンチに座って長い時間鑑賞する方が多かったです。また、この作品はいろんな要素が入っていて、テーマ的に難しい題材であったものの、子供のお客様がかなり興味を持ってみてくれていたことも驚いたポイントです。映像的な面白さもあったと思うのですが、色々なところから飛んでくる音の面白さも興味を引いたのではないかと思います。
今回の展示を総括して、いかがでしたでしょうか?
加藤氏:今回の展示を通して、映像と音で五感に訴えてくるような展示が実現できたと思いました。サブウーファーも当初は効果があるのかイメージできなかったのですが、実際使用してみると、身体で音を感じる感覚が圧倒的に増え、作品との親和性もぐっと増したと感じました。鑑賞者の方々も巻き込んで展示を体験するような感覚です。
片岡氏:今までの展示でも音響機器を使用することはありましたが、ここまでこだわって作り込んだことはありませんでした。映像作品の場合、音を大きくしていきがちでしたが、BECのスピーカーは音量を上げなくても狙ったエリアではっきりクリアに聞こえてくる、それが驚きでした。現在、映像を使用した展覧会も増えていてきています。そこで映像と共に音もクオリティーを高めたい、けれども意匠的に邪魔しない、という需要は今後多くなっていくのではないかと思います。
ありがとうございました。

| 機材 | ブランド名 | 製品名 |
| コラムスピーカー | BEC Akustik | IC-120 |
| IC-70 |
|
川崎市 岡本太郎美術館 会場構成 音響システムデザイン、音響調整、納入業者 |