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大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」様 \XD HALL『モンスターハンター ブリッジ』
大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」様
XD HALL『モンスターハンター ブリッジ』
2025年4月から開催される大阪・関西万博において、2025年日本国際博覧会大阪パビリオン推進委員会が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」の「XD HALL」にCODA AUDIOのスピーカーシステムが納入されました。
XD HALLでは、ARデバイス、360度シアター、イマーシブサウンド、床振動を融合した没入感のあるコンテンツ『モンスターハンター ブリッジ』を体感でき、そのサウンドをCODA AUDIOの「D12」89台と「APS-SUB」4台が担います。
2025年4月 運用開始
▲ 『モンスターハンター ブリッジ』の体験を提供するXD HALL
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●未来のエンターテインメントを体感できる「XD HALL」。
「XD HALL」は、一歩踏み入れた瞬間から現実世界ではない、まだ見ぬ新しい次元の空間にいる感覚に包まれる未来のエンタメ施設です。内部は床面直径約12m×高さ約5mの円筒形状シアターが設置され、側面および天面はシースルーLEDを、床面はプロジェクターを用いています。没入感を高めるため、LEDの後ろから側面70台、天面19台、計89台のCODA AUDIOの設備用2-Wayフルレンジ・スピーカー「D12」を設置。4台のサブウーファー「APS-SUB」を含めた89.1チャンネルで360度全方向の音に包まれる立体音響を実現しており、演出に合わせた床振動も取り入れています。

©CAPCOM
『モンスターハンター ブリッジ』は、大手ゲームソフトメーカー株式会社カプコンが人気ハンティングアクションゲームシリーズ「モンスターハンター」を基に新しく開発した世界でただ一つの体験型コンテンツです。アイルーとのふれあいや迫り来るモンスターの脅威を、現実とデジタルが融合する空間で体験。音がする方向から床が震え、振り返ると上からモンスターが襲ってくる、といった大迫力とコンテンツの世界に入り込める感覚を楽しめます。
 ©CAPCOM
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 ©CAPCOM
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▲ XD HALLの内部イメージ 提供:(公社)大阪パビリオン
▲ 床面直径約12m×高さ約5mの円筒形状シアターを取り囲むように、89台のCODA AUDIO「D12」と4台の「APS-SUB」が設置されています。
▲ 93台のスピーカーを駆動するパワーアンプ「LINUS14」を収納したアンプラック
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● CODA AUDIO「D12」は、解像度・スピード感・位相特性すべてにおいてバランスが良い
「D12」を導入するに至った経緯を、機器導入責任者の株式会社カプコン サウンドテクニカル室 室長 岸 智也様、サウンドクリエイティブ室 瀧本 和也様、同じくサウンドクリエイティブ室 鉢迫 渉様にうかがいました。
▼XD HALLでは、どのようなサウンドを目指したのでしょうか?
国際博覧会という特性上、50年後にも残る音を、私たちも作るべきだということが、このプロジェクトの出発点でした。
今回私たちは、「没入感」のさらに先――「体感」をテーマに据えました。よくゲームでは“イマーシブ”という言葉が使われますが、わざわざ没入しないといけない時点で、それは“まだ外にいる”んじゃないかと思っていて。「そこにいる」ことを自然に感じられるような、音に包まれ、その空間に自分がいる体験=体感を目指しました。
そのためにシアター内の360度の映像空間に対して90chのスピーカー構成(19.18.18.16.18.
1ch)を組み、全オブジェクトベースでの音響設計を行いました。ハイレゾ(96kHz/24bit/非圧縮)音源による空間解像度と、床振動との連動、そしてARデバイスとの音の連携と、全て盛り込みました。最初に風呂敷を広げすぎたかも…と思ったのですが、最後までその風呂敷をたたまずに、着地させることができたと思います。
また、ゲームで長年培ってきたインタラクティブに対応するオブジェクトベースの思想も、今回のシアター内での音響に活かせました。音そのものが空間の中で“生きる”ような設計にできたのは、ゲームサウンドに取り組んできた私たちならではのアプローチでした。
▼360度全方向の立体音響を構成するための課題をお聞かせください。
いちばんの課題は、「省略できない音の世界」をどう構成するか、という点でした。
映像はその方向を見なければ「見えない」だけですが、音は後ろでも上でも、そこにあるものから音が出力されると別の場所を見ていても「聴こえて」しまいます。つまり全方向の音に対して責任を持つ必要があります。
XD HALLでは、演出全体の流れの中で、大切な音の要素を分かりやすく配置することで、“音による視線誘導”を意識的に作っていきました。その意味では多くのパターンを繰り返しながら音による演出を固めていきました。
技術面で言えば、定位・スケール・距離感の設計がカギでした。ただ、これらは普段のゲーム制作でも常に向き合っている要素なんです。ただし今回は、それを90ch・大音量・大画面という環境で実現しなければならないというのが大きな違いでした。普段の感覚の延長線上ではコントロールしきれない部分に、多くの発見と課題がありました。
この複雑な音響システムを現実に走らせるためには、「サウンドデザイナーとプログラマーが同じゴールに向かって走れる関係性」が不可欠でした。最初に広げた風呂敷を実現するために仕様を一緒に考え、一緒に悩み、一緒に答えを探していく。これは、サウンドデザインとプラグラミングが常に密に連携しているカプコンサウンドだからこそ成し得た部分だったと思っています。
▼課題克服のために、どのようなスピーカーが求められたのでしょうか?
「モンスターハンター ブリッジ」では、コンテンツのためにシステムを構築したというよりも、「このシステムを最大限に活かすオーディオ演出は何か?」という視点で設計を始めました。
その答えが、オブジェクトベースオーディオの採用であり、96kHz/24bitのハイレゾ音源であり、前述の定位・スケール・距離感による高い表現力です。
そのぶん、スピーカーにも高い性能が求められ、このスペックを表現できる再生能力があることが、選定の条件でした。
サウンド演出面だけでなく、スピーカーは高精細映像(シースルーLED)の背後に設置することになるため、音響特性が変化しても安定して出力できる性能が求められました。
つまりはスピーカー、ただの再生装置ではなく、サウンド演出を構成する“空間の一部”であるという認識で選定を進めました。
▼CODA AUDIO「D12」の採用にあたり、どのようなところを評価されたのでしょうか?
求められる技術要件に加えて、もう一つ極めて重要だったのが、シアター内のさまざまな場所にいる体験者に、正しくオーディオを届けることでした。
CODA AUDIOの「D12」は、設備系スピーカーとしては珍しい同軸構造を採用していて、位相による問題を軽減でき、体験者の位置による聴こえ方のブレが少なく、あらゆる体験者に満足してもらえるオーディオを再生できると感じたことが決め手でした。
360度全方位にスピーカーが設置されたXD HALLでは、体験者の立ち位置、見る方向、姿勢によって、聴こえ方が微妙に変化してしまうリスクがある中で、D12の同軸構造は、音像の定位と明瞭さをキープしたまま、空間の中に均質に音を届けてくれる理想的な特性を持っていました。
また、シースルーLEDの裏など、音響的に不利な場所に設置せざるを得ない中で、D12は特性の変化に強く、音の崩れが起きにくい。この「どこで鳴らしても破綻しない」安定感も、導入を後押ししました。D12は解像度・スピード感・位相特性すべてにおいてバランスが良く、今回のサウンド演出にとって相性が抜群でした。
▼実際に運用したときの印象や感想をお聞かせください。
実際にD12を現場で鳴らしてみてまず感じたのは、事前の想定通り、どの場所に立っても位相干渉による悪影響がほとんど感じられず、その場所ごとにしっかりと満足のいく体験が得られました。
技術的な問題が起きなかったことで、逆に「場所を変えるたびに異なる音響体験が得られる」という状態がメリットとして機能し、空間全体を使った多層的な演出が可能になったと感じています。
設備系スピーカーでありながら、まるでスタジオモニターのようなニュートラルさと反応の良さがありました。もちろん、社内スタジオとシアターの音響環境には差がありましたが、一度スタジオの音に寄せる調整を行った上で、最終的にはPA的な出音にチューニングするという二段階の調整が可能だったのは大きかったです。「演出用」と「調整用」どちらにも応えてくれるスピーカーという意味で、非常に頼れる存在でした。
空間全体を使って、一人一人の体験者に当初、目指していた「体感」を届けることが、このスピーカーによって実現できたと言っても過言ではありません。あくまでも私たちの希望ではありますが、おそらく50年後にも残るであろうサウンドに一役買ったと思います。最後に、スピーカーの提供だけでなく、機材の手配から現場での手厚いサポートまで、ヒビノさんのチーム力があってこそ実現できたと感じています。本当に感謝しています。

機材 |
ブランド名 |
製品名 |
2-Wayフルレンジ・スピーカーシステム |
CODA AUDIO |
D12 |
サブウーファー |
CODA AUDIO |
APS-SUB |
パワーアンプ |
CODA AUDIO |
LINUS14D |
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