Riedel Communicationsは、オーストラリア最大の産業拠点であるBlueScope社ポートケンブラ製鉄所(ニューサウスウェールズ州東海岸)において、先進的なコミュニケーション・ソリューションとしてRIEDELのArtistシリーズを熱間圧延部門に導入し、稼働を開始したことを発表しました。
年間300万トン以上の鋼材を生産するポートケンブラ製鉄所は、大規模かつ複雑な産業オペレーション環境です。2028年に創業100周年を迎えるにあたり、これらの設備は操業の安全性を確保しつつ製鉄所特有のリスクを管理するため、継続的な保守と設備投資が不可欠となっています。1960年代に建設された熱間圧延ラインでは、老朽化した2ワイヤーアナログパーティラインシステムが現代のオペレーションの要求に対応できなくなっており、BlueScope社は安全性と効率性の観点からコミュニケーションインフラ刷新の必要性を認識。徹底的な検討を経て、拡張性・音声の明瞭さ・冗長性に優れるRiedelのArtistエコシステムを採用しました。
「複数のベンダーの選択肢を比較し、自社の要件に照らして検討しました。特に重視したのは、パーティーライン通信、柔軟なコールルーティング、すべての制御室(プルピット)に一斉放送できること、そして個別の制御室との通信ができることです。」とBlueScope社 熱間圧延電気エンジニアリングチームリーダーのBenjamin Yeatman氏は述べています。
「Riedelの導入により、プルピット間のコミュニケーションを柔軟に構築でき、パーティーラインの実装や外部機器との統合も可能になりました。システムの統合はスムーズで、工場全体の通信を飛躍的に強化してくれました。」
今回の導入で特に大きな改善点となったのは、RiedelのJuggler Tetraインターフェースを介した、BlueScope社のTetraデジタル無線ネットワーク(トランシーバー)との統合です。これにより、これまで分断されていた高所の制御室と工場フロア作業員との連絡線が一体化され、単一でインテリジェントなコミュニケーション基盤が構築されました。
さらに、Artistシステムはさまざまなサードパーティのオーディオ機器やロジック機器とも連携。分散型のスピーカー・マイクシステムやGPIO連動機能と統合することで、高度な現場に適したダイナミックでレスポンシブな通信環境が実現しています。また、緊急時には通常の通信を強制的に上書きし、安全に関わる重要なアナウンスを全オペレーターへ即時に届けることも可能です。
「サポート体制も重要な選定基準でした。」とYeatman氏は続けます。
「Riedelは堅牢なサービスレベル契約と現地サポートを提供しており、24時間365日稼働する当社の製造環境では不可欠です。通信が途絶えればプロセスも止まりますので、信頼性は最も重要です。Artistフレームに組み込まれた冗長化機能は、極めて高い稼働率と信頼性を実現しています。」
技術的なアップグレードにとどまらず、Riedelのシステムは日常業務にも好影響を与えています。プルピット間の通信がより直接的になり、騒音の多い環境下でも明瞭な音声が確保されました。また、コミュニケーションのしやすさはチーム間の協力体制強化にもつながっています。
「音声品質は素晴らしく、大音量で力強い。これは騒音の多い重工業環境において非常に重要です。」とBlueScope社のオペレーションマネージャー、Karl Pajkovic氏は述べています。
「それ以上に、連絡線がチームをつなげてくれるのです。プルピットでの作業は孤立しがちで、新人にとっては特に孤独感を覚えやすいのですが、Riedelのコミュニケーションシステムによって彼らをチームに含めることができ、熟練メンバーとの連携もより深まりました。これは現場の士気向上にも大きく役立っています。」
Riedel Communications オセアニアディレクターのChris Johnson氏は次のようにコメントしています。
「BlueScope社ポートケンブラ製鉄所での導入事例は、もともと放送やライブプロダクション向けに開発されたArtistインターカム技術が、重工業分野でもミッションクリティカルな性能を発揮できることを示す力強い証拠です。BlueScope社の複雑なオペレーションインフラと統合された今回の事例は、本システムが最も要求の厳しい環境においても適応性・信頼性・有効性を備えていることを証明しています。」