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角田先生に聞く! MC-3+USBの魅力
角田先生   角田先生にお聞きしました
Photo by 田代法生             

ホームオーディオ機器の評論では、読者にわかりやすいノウハウを提供している角田郁雄先生。このたび、MUTEC『MC-3+USB』をご自宅の仕事部屋兼リスニングルームに導入されました。
角田先生がMC-3+USBのご購入に至った経緯や使い心地をうかがってきました。

■Mutecというメーカーについては御存知でしたでしょうか?またMC-3+USBに興味を持っていただいたきっかけは何でしょうか?

以前は、クラシック音楽の録音もよくやっていたのですが、近年は、すっかり、ホームオーディオの仕事が多くなり、プロ機器への関心が少なくなりました。ですから、MUTECのことは、正直なところ知りませんでした。MC-3+USBを知ったのは、あるオーディオ誌での取材でした。コンパクトな筐体ですが、マルチ・クロックジェネレーター、USBデジタル入力からAES/EBUやSPDIF(同軸/TOS)出力への変換、リクロックなどができ、魅力的に思えました。一旦は、取材で終わってしまったのですが、後で資料を読み返したら、私のシステムで、かなり有効ではないかと思い、購入することにしました。

■MC-3+USBを角田先生のオーディオシステムにどのように追加されたのでしょうか? よろしければ前後の機材を含めてご説明願えますか?

私は結構、技術や理論を追求することが好きで、1GHzという高い周波数のインターナル・クロック(内部クロック)とDDSの組み合わせが、クロック・ジッターの原因となる近傍位相ノイズを大幅に低減していることに、大変興味を持ちました。価格も、実にリーズナブルですね。私は、ハイレゾ再生も好きですが、今でも、30年以上の歴史を誇るCDの高音質再生にも努力しています。ひょっとしたら、クロック入力に対応しないCDトランスポートとDACの間にリクロック使用したら、確実に高音質になるに違いない。ハイレゾミュージックでスタンダードな96、192kHz/24bit PCMも、MC-3+USBの内部で生成された高精度クロックに同期させれば、高音質化されると予想しました。
具体的には、まず、CD再生の高音質化のために使っています。
私のCDトランスポートは、内部で、96kHz/24bitにアップサンプリングします。
そのSPDIF出力(BNC)をMC-3+USBに接続し、インターナル・クロックとリクロックモードに設定し、そのSPDIF出力をUSB DACのBNC同軸入力に接続しています。96、192kHz/24bitのハイレゾを再生するときは、オーディオ用NASやMac Book ProのUSB出力をMC-3+USBのUSB入力に接続し、メニューでUSB入力に変更し、USB DACの同軸入力を使って再生しています。

システム1MC-3+USBシステム2


■現在ご使用のオーディオシステムにMC-3+USBを追加したことで、どのような音の変化を感じられましたか? また、角田先生が購入の決め手とした“変化”は有りましたか?

実際に使用しましたら、奏者や歌い手の表情が、高解像度で生々しく描写され、空間性が、明らかに向上しました。レンジ感が増したというか、音楽に躍動感が増した思いもします。
もう一つ、魅力的なことは、音楽でエッセンシャルな弱音の再現性や音の透明度が高まったことです。弱音の再現性が高まると、楽器や声の倍音(響き)に、柔らかさや繊細さが加わり、より豊かな倍音を再現します。音楽のディテイルに深みが出ます。MC-3+USBを取り外すと、相当、寂しくなりますね。後戻りできなくなります。このことをオーディオ誌の取材でも感じ、購入の大きな理由となりました。


■MC-3+USBは1GクロックテクノロジーというMutec独自の音声信号の処理技術を採用しております。この技術について、ご感想をおきかせください。

1Gクロックテクノロジー
プリアンプやパワーアンプなどのアナログ機器では、ボリュームや長い回路、複雑な回路により、S/Nや歪みが音質劣化の大敵となります。つまり雑音成分です。対して、デジタル再生では、データーは長い回路、複雑な回路を通過しても劣化しません。しかし、データーと対をなす、正確な時間軸を作るクロックの波形にジッターが加わると、音質劣化の原因になります。デジタル再生では、高精度クロック伝送が、本当に大切です。Mutecの本国サイト(※)を見れば、分かるのですが、MC-3+USB内部で生成されたクロックは、ジッターの原因となる高調波成分が、大幅に低減していることが理解できます。DDSにより、高い周波数精度も実現しています。これも、購入の大きな理由となりました。DSPやFPGAを使用した、整然とした内部回路にも、オーディオ機器としての魅力を感じました。

(※)リンク先のページの中ほどにある「The new Authority for High-resolution Audio Re-Clocking」の部分をご参照ください。


■まだマスタークロックジェネレーターを御使用になられていない方々へ、角田先生よりメッセージをお願いできますか?

MC-3+USBは、デジタル・レコーダー、DAWなどのクロックジェネレーターとしても使え、前述のようにCDやハイレゾ再生に使えるなど、実に機能豊富なことと、クロック・ジッターを大幅に低減したクロックを生成することが大きな魅力です。しかし、ジッターは、長い同軸ケーブルの内部でも増加します。ですから、デジタル・ケーブルは、できる限り短く使い、シールド性が高く、インピーダンス75Ωを重視したケーブルを選ぶことが大切です。10MHz外部クロックジェネレーターも接続できることも魅力ですが、このMC-3+USB内部クロックの音と10MHz外部クロックジェネレーターの音を十分に比較し、10MHzクロックジェネレーターを選定することが大切です。それくらい、内部クロックは優秀だと実感しています。(※マルチプライヤーを使わないことを前提とした場合です。本当は、Mutecから、高精度、近傍位相ノイズの10MHzクロックジェネレーターが発売されると良いのですが。) 
MC-3+USBは、本当に高音質化でき、活用度の高い機器です。オーディオ愛好家の皆さんにとっては、音の変化が、楽しめる機器とも言えます。
デジタル録音、CD&ハイレゾ再生を極めたい方は、一度、専門店で試聴してみてください。

●MC-3+USB展示店
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角田郁雄  Ikuo Tsunoda

オーディオ評論家。
北海道札幌市生まれ。父の影響を受け、オーディオに興味を持つ。スタジオ機器のセールスエンジニア的な仕事を経た後、 オーディオの魅力を若い世代にも伝えたいと評論の世界へ。ブランドの音やその背景にある技術、そしてその結果誕生するデザインの魅力を深く掘り下げる スタイルで厚い支持を獲得している。