劇伴やリズム録音に対応する大小2つのスタジオをはじめ、ダビング・トラックダウン用スタジオ、マスタリングルーム、映像編集室を網羅する株式会社キング関口台スタジオ様。キングレコード株式会社の歴史を受け継ぐ3代目のスタジオであり、アナログからデジタルまで常に最新鋭の機材を揃え、多くのアーティストやクリエイターから「音の良いスタジオ」として高い評価を得ています。
この度、同スタジオ所属のレコーディング・エンジニア 中村 友哉氏が、MUTECの10MHzリファレンス・クロックジェネレーター「REF10」およびマスタークロック・ジェネレーター「MC-3+」をプライベート機材として導入されました。
スタジオのシステムを支えるテクニカル・エンジニア 倉島 礼人氏にもご同席いただき、実際の現場に機材を持ち込んで使用されている中村氏に、その具体的な使い心地や音質の変化についてうかがいました。

──本日はインタビューをお受けいただきありがとうございます。早速ですが、今回MUTECの機材を導入された背景やきっかけについてお聞かせください。
中村: そもそも「モニター環境を改善したい」と考えていたのがきっかけです。いままでProToolsシステム用シンクロナイザーをクロックソースに設定していましたが、よく一緒にお仕事をしているマスタリングエンジニアの方と話していて、『いろいろクロック試して遊んでみようよ』という流れになり、そこでMUTECの名前が挙がりました。
──そのエンジニアの方もMUTECを使われていたのでしょうか?
中村: いえ、そのマスタリングエンジニアさんが他のミックスエンジニアさんと一緒にお仕事をしたときに、ミックスエンジニアさんがMUTECを使って「音の仕上がりが良くなった」と言っていたのを覚えてくださっていて、私に勧めてくれました。今年の2月頃から1ヶ月ほど機材をレンタルしてお借りし、他社のクロックジェネレーターと比較試聴をした上で、先月末に自身の個人的な機材として導入を決めました。
──現在は主にレコーディングでご使用ですか? それともミックスでしょうか?
中村: 主にミックスの時に使用しています。
──MUTECを組み込んだ具体的なシステム構成を教えていただけますか?
倉島:接続としては、まず『REF10』をマスターとして置き、そこから『MC-3+』で受けます。さらにそこからProToolsシステム用シンクロナイザーへ送り、そこからループシンクを使って各ProToolsシステム用オーディオI/Oへ分配・循環させていくという流れです。

各機器のWord Clock Inへ個別に配線するスター結線という方法もありますが、以前別のクロックを用いて配線トポロジー(形態)の違いによる音質や同期安定性の変化を何度も検証したことがありました。
MUTECの最大の強みである『高スルーレートな矩形波』を活かす上でも、受け側機材の内部PLL回路の挙動やPro Tools自体のアーキテクチャを考慮すると、まずは司令塔であるシンクロナイザーを正確にロックさせ、そこからループシンクで各オーディオI/Oの位相の整合性を強固に縛る(ループを閉じる)方が、音質面でもサンプリングレート変更時の追従性(運用の安定性)を含めてもベストだと分かっていたため、その時の経験則をそのまま今回のシステム構築に活かしています。
──実際に使ってみて、音質の変化はいかがでしたか? 奥行きや音数など、どのような違いを感じられましたか?
中村: 導入前に各社のクロックでブラインドテストを行ったのですが、MUTECは一番バランスが良く、音の「ピントが合う」感覚がありました。ピントが合ったことでサイドの広がり感もより見えてくるようになりましたね。
以前のSync HDのみの環境では、200〜300Hzあたりの帯域がごちゃっと聴こえてしまい、整理しに行こうにも感覚が掴めず手が出しにくかったんです。それがMUTECを入れた瞬間にパッとピントが合い、「ここをもっと細かく詰められる」と直感的に手が動くようになりました。
──ライブ音源のミックスなどでも違いは出ますか?
中村:ライブミックスをしている時に、より顕著に表れました。ライブ音源はオーディエンスマイクや空間の音など要素が多く、ごちゃごちゃしてミックスが難しいんです。でも作業途中でMUTECに切り替えた瞬間、実際のライブ会場にいるような空気感がリアルに伝わってきました。細かい部分への気づきが得やすくなり、ミックスをする上でかなり音を触りやすくなりましたね。
──ハイエンドオーディオを嗜む一般のお客様からも、間接音や反射音といった空間表現力の向上や、低域のもやっとした感じがなくなり音像がはっきりする、とご好評いただいています。
中村: 間違いなく低域の解像度も上がりますね。前までは環境の問題でいじれないと思っていた40Hz付近の帯域も、しっかり見えて触れるようになりました。
他社の300〜400万円クラスのクロックも試聴したのですが、私が主に手がけているポップス系のジャンルだと「音が綺麗になりすぎてしまう」感覚がありました。その点、MUTECは非常にバランスが良く、かつワイドに広がってくれるので、個人的にすごく丁度良いと感じています。
──MUTECのリクロック機能やジッター低減技術についてはどう評価されていますか?
倉島:一般的に位相同期回路でジッターを低減するものが多いですが、MUTECはDDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザー)によってデジタルで信号を処理し、リクロックを行います。そのため立ち上がりがすごくスマートで、それが中村の言う「音のまとまり」に直結しているのだと思います。
また、最近はルビジウムなどの原子時計を使ったクロックを良しとする風潮がありますが、あれは年単位でのズレの少なさを謳うものです。放送業界なら重要ですが、数分の音楽制作においては長期的なズレよりも、短期的なズレであるジッターの少なさと立ち上がりの鋭さの方が重要だと思っています。
──まさにMUTECの開発者であるクリスティアン・ペーター社長も全く同じことを言っています。音楽において重要なのは長期間の精度ではなく、短期間でのジッターや位相ノイズの処理能力である、と。MUTECの製品は立ち上がりが早く、スルーレートが非常に高い(エッジが綺麗に立ち上がる)ため、DAコンバーターが正確にロックでき、ジッターの発生を防ぐ設計になっています。
▼製品情報
| 機材 | ブランド名 | 製品名 |
| 10MHzリファレンス・マスタークロックジェネレーター | MUTEC | REF10 |
| デジタルオーディオ・マスタークロック・ジェネレーター | MUTEC | MC-3+ |
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▶株式会社キング関口台スタジオ 東京都文京区関口2-4-16 TEL:03-3945-2116 FAX:03-3945-3756 https://kingsek |
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▼第1スタジオ ![]() 関口台スタジオ最大の広さを誇る 第1スタジオでは、オーケストラの録音など
大編成の収録が可能。 |
▼第2スタジオ
![]() リズム編成やドラムレコーディングに適したスタジオ。
バンドから少人数編成のストリングス録音まで 幅広く対応。 |
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▼アナログマルチトラックレコーダー
![]() 16ch・24ch対応の STUDER A827MCH
フルアナログレコーディングが可能 |
▼カッティングルーム
![]() 第1スタジオとアナログ回線で直結、
ダイレクトカッティングにも対応している |