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Q&A:レコーディング・マイクロホン
Q&A:レコーディング・マイクロホン

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Q質問プリポラライズド・マイクカプセルについて教えてください。

A回答
ddicate Recording Microphonesプリポラライズド・マイクカプセルは、コンデンサーマイクに必要なバイアス高電圧を48V ファンタム電源から生成するのではなく、カプセルのバックプレートとダイヤフラムの間に電圧を蓄積する自己電極生成方式を採用しています。バックプレート製造時に1000V 以上の高電圧をかけ、さらにオーブンで長時間の高温エージング処理を施します。ポラライズド電圧を取り外してもバックプレートには230V 以上の電極電圧が残留し、100 年以上永続します。このエージングによりマイクは出荷後も安定した特性が持続します。またプリポラライズド方式によりバックプレートとダイヤフラムのスペースを広く確保できるため、高電圧時(SPL)のピークでも歪が発生しにくいのが特長です。

なお、マイクロホンに供給される48V ファンタム電源は、マイクロホン内のプリアンプとインピーダンス変換機を含む出力バッファーを動作させるために使用されます。
※DPA社の全てのマイクロホンはプリポラライズド・マイクカプセルを採用しています。



Q質問DPAサウンドの特長を教えてください。

A回答
4011A周波数特性図DPAの指向性マイクロホンは、単一指向性からショットガンまで多様な製品をラインナップしていますが、いずれも極めて滑らかで自然な軸外特性を備えており、指向軸上はもちろん、指向軸外でも優れた音質が得られます。指向性マイクロホンの周波数特性は軸上(0 度) ではフラットでも、軸外(30/60/90/180 度) ではフラットとは限りません。これは、側面および背面からマイクロホンに入る音により、多少とも色付けされるためです。これを「カーテン効果」と呼びます。たとえ側面および背面からの音が減衰しても、全体の音に影響し、音の明瞭度や忠実度が低下します。したがって、マイクロホンを選ぶ場合は、自然な軸外特性を備えた製品を選ぶことが重要です。
指向性マイクロホンにおいてDPA の特徴であるクリアで正確なサウンドが得られるのは、このフラットな軸外特性によるものだと言えます。


Q質問“モジュラー式”について詳しく教えてください。

A回答
d:dicate レコーディング・マイクロホンは、4000 シリーズ・2000 シリーズともに、カプセルとプリアンプを自由に組み合わせることができるモジュラー式を採用しています。カプセルは8 種類、プリアンプは6 種類をラインナップしています。プリアンプは共通のため、例えば2000 シリーズマイクを購入後、4000 シリーズのカプセルを別途購入することでマイクロホンのアップグレードも必要です。
d:dicate Recording Microphones

 また、カタログに掲載されていない組みあわせにも対応できますので、詳しくはお問合せください。


Q質問2000シリーズのマイクカプセルの構造を教えてください。

A回答
2000 シリーズのマイク・カプセルにはDPA のミニチュア・カプセルをベースにした「ツイン・ダイアフラム・カプセル・テクノロジー」が採用されています。これはひとつのカプセルの中に2 枚のダイアフラム(※バックプレートは1つ)をセットすることで、高感度・低ノイズ、高音圧に対応し、クリアな音質を実現します。また単一指向性のカプセルは干渉チューブ(Interference Tube) で指向性を持たせています。下の図からは、音源から軸が多少外れてもフラットな特性をキープし急激な音質の変化を抑えている事がわかります。

2000シリーズ・マイクカプセルMMC2011周波数特性図



Q質問ワイド単一指向性マイクロホン「4015」について教えてください。

A回答
無指向性と単一指向性との間に位置するマイクロホンが、ワイド単一指向性マイクロホン“4015”です。あまり知られていませんが、“4015A”は、ボーカル・レコーディングでは指向性を保ちながらも空気感のある音で微妙なニュアンスを見事に録らえてくれます。さらにサラウンド・レコーディングにおいては、分離感のある音ながら各チャンネル(特にフロントとリア)が自然につながるという他のマイクロホンではなかなか出せない魅力を持ったマイクロホンです。単一指向性のマイクロホンで広がりのある滑らかな音をお探しの方は、このワイド単一指向性マイクロホン“4015A”をぜひ一度お試しください。
4015A、5015A


Q質問4006Aは、4006と同じトランス仕様ですか?

A回答
いいえ、トランスレス仕様です。
4006A と4011A はいずれもトランスレス仕様のマイクロホンです。トランス仕様の4006*と比較して、違いや特長を確認してみます。 *旧製品です。現在は販売していません。
  トランス
(4006)
トランスレス
(4006A, 4011A)
感度 低い 高い
ひずみ 高い 低い
低域周波数再生 正確ではない 良好
同相信号除去比 高い 低い
ケーブル引き延ばし可能距離 長い 短い

▼感度(Sensitivity)
ほとんどのマイクロホン・トランスは、信号レベルを下げるよう設計されています。そして“感度”はマイクロホンからの出力信号の大きさ( 電圧) とダイアフラムにかかる圧力の比(mV/Pa) であるため、トランスが信号レベルを下げるのとほぼ同じ比率でマイクロホンの感度を低下させます。トランスレスタイプの4006A の感度が40mV/Pa であるのに対して、トランスタイプの旧4006 の感度は10mV/Pa です。このようにトランスレス出力のマイクロホンはトランス出力のものより感度が高くなるため、ノイズに埋もれることなく微細な音をピックアップできます。

▼歪み(Distortion) と低域周波数再生(Low frequency reproduction)
トランスは低周波信号に含まれる大きなエネルギーによって飽和しやすいため、聴き取る事ができる低周波歪みを誘発します。トランスを取り除くことで、単に周波数レンジを拡張するだけではなく、とても重要な80Hz 辺りの帯域でより忠実な音響特性を得られます。その結果、トランスレス出力のマイクロホンはトランス出力のものに比べ、歪みの少ない豊かな低域が得られます。

▼同相信号除去比(CMRR、耐ノイズ性)
バランス音声ラインの耐ノイズ性能は、入力/ 出力インピーダンスの平衡と音声入力チャンネルのコモンモード( 同相信号) 除去比によって決まります。バランス型の音声トランスは、他のどのような電子回路と比べてもコモンモード除去比が高く、バランス伝送に適しています。音声信号ラインの出力と入力にトランスを使用すると信号線に誘発するノイズに対して最大の耐性が得られます。一方トランスレスタイプのマイクプリアンプでは、使用している電子部品の精度( バラツキ) から音声ラインに僅かなアンバランスが生じます。そのため、どうしても理想的なバランス伝送ができません。耐ノイズ性能の点では、トランス出力のマイクロホンの方がトランスレス出力のものより優れていると言えます。

▼ケーブル引き伸ばし可能距離
マイクロホン・トランスを経由した時、信号の電圧はトランスの比率に応じて低くなりますが、その一方で信号の電流は多くなります。増加した電流は、顕著な信号の劣化が生じることなく伝送できる距離、つまりマイクロホンのケーブル・ドライブ能力を向上させます。トランスレスタイプ4006A のケーブル引き伸ばし可能距離が100m であるのに対して、トランスタイプの旧4006 は300m となります。

▼まとめ
以上のように、マイクロホン・トランスにはメリット・デメリットがあり、一概にトランスタイプとトランスレスタイプ、どちらのマイクロホンが優れているとは言えません。しかしながら、ハイレゾ録音をはじめとした近年の技術的な進歩により、より忠実な音響再生への欲求が日々高まってきています。この要望に応えるべく誕生したのが、現行のd:dicate レコーディング・マイクロホンシリーズです。音質面で不利となるマイクロホン・トランスを廃しリファインされたプリアンプユニットとDPA が誇るマイクカートリッジとの組み合わせにより、究極のナチュラルサウンドを実現しています。