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DPA 4011Aは単一指向性のコンデンサー・マイクロホンです。レコーディングで楽器の収音に使用されることが多く、無指向性のDPA 4006Aと並んでプロフェッショナル仕様の高品位マイクロホンとして知られています。その音質は「色付けがない」「透明感がある」「自然な音質」などと称されています。
一般的に湿度に弱いとされるコンデンサータイプであること、比較的高価な製品であることから、これまでフィールドレコーディングの分野ではあまり使用されていませんでしたが、フィールドレコーディング・エンジニアの河村大さんはDPA 4011Aのクオリティに注目しました。「自然の音を録る」ために求められる「耐久性」と「クオリティ」について、実際にDPA 4011Aを使用した印象をお話しいただきました。
⇒DPA 4011A製品ページ
フィールドレコーディング用マイクとして重要な点は、音色はもちろんですが、それを除くと「丈夫」であることですね。
環境に左右されないこと
雨上がりの川の周囲は湿度90%にもなります。また海外でも、夏のスコール後は直射日光で水分が蒸発して全部湿気になるのでスチームサウナ状態です。
その状況下で音が録れるか、録れないか。
そもそもマイクより人間がついていけなくなりますが・・・笑
湿度が高いとハイ(高域)が落ちる傾向にあり、結果的にノイズの原因となってしまいます。特にサラウンドマイクは湿度に弱いため影響がでやすく、注意が必要です。
ところがDPA 4011Aは湿度88%というほとんど水中のような環境下でも2時間、音色が変わらずに動作したんです。びっくりしました。
こんなこと初めてです、奇跡ですね!
それにDPA 4011AだけではなくDPA 4006A(無指向性タイプ)も湿度には強かったです。どちらも湿度が高い環境でも音色は驚くほど変わらないですね。
もうひとつ気づいたことですが、DPA 4011Aは吹かれに強いです。ジャマーさえ使えば風にすごく強いので、その点も非常に使いやすいです。
このスリット部分の構造だと思いますが、嫌なところで「ボボボボ」と鳴りませんでした。
ガンマイクは指向性を高めるためにサイドに大きなスリットが入っているからどうしても吹かれには弱いです。
DPA 4011Aはガンマイクに近い役割もするし、パラボラ収音にも使える。そもそも低域から高域まで幅広い収音能力があるので、フィールドレコーディング用にガンマイクを選ぶならば、DPA 4011Aを選んだ方が絶対に良いと思います。万能なマイクです。
贅沢をいえば無指向性のDPA 4006Aも加えて、両方持つことがベストですが。
一般的にパラボラ収音には無指向性マイクが合うと言われているので、最初はDPA 4006Aを使うつもりでいました。
ところが試しのつもりで単一指向性のDPA 4011Aを使ってみたところ、ものすごく抜けが良くて!パラボラを使っても対象物から距離が離れるとどうしてもぼやけてしまうのですが、DPA 4011Aとの組み合わせでは周囲の音がしっかりと排除されてターゲットの音が明瞭に収音できていました。
色々試した中でまさに「別格」でした。
小川のせせらぎって、耳で聴こえる音とマイクで収音して再現する音が全く違ってしまう代表格のような音源です。マイクで録る音はどうしても「ジョボジョボ」と聞こえてしまいます。
それを避けるために、私はサラウンドマイクと高音が得意なマイクを組み合わせています。このような高音をきれいに録りたいときのマイクとしてもDPA 4011Aはとても重宝するマイクだと思っています。
DPAといえばスタジオで楽器のレコーディングに使用するマイクというイメージもあり、フィールドレコーディング業界では使われていません。コンデンサーマイクの一般的なイメージから湿気の問題や値段を考えると、雨の日に外に持っていくことはできない、というイメージでした。
でも
せっかくフィールドレコーディングをするなら、自分の耳で聴こえた音やイメージがそのまま録れるマイクを使ったほうがいいんじゃないかな
と思います。
私自身も最初は半信半疑で、本当に「お試し」のつもりで使ってみたのですが
「あれ?全然いいじゃん」
DPA 4011Aはファーストチョイスになりえると思っています。
強いてデメリットを上げるならば「値段」でしょうか。
でも、実際に購入しているので言えますが【値段にふさわしい仕事はしてくれるマイク】です。