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開催レポート [前編] DPAトークイベント「フィールドレコーディングの舞台裏」
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2024年8月14日

7月12日(金)、ヒビノ日の出ビルにてDPA Microphonesトークイベント「フィールドレコーディングの舞台裏」を開催いたしました!

あいにくの雨模様でしたが、多くの方にご来場いただき、盛況のうちに終了しました。
ふたつの記事に分けて、イベントの様子をお伝えします。

 

 

このたびご登壇いただいたのは株式会社Studio ARM代表の河村大様です。
収録・選曲・Foly・音響効果・ミックスなど映像音声・音声作品に関するすべてをご自身で手掛けるなど、幅広くご活躍されています。

▲ご登壇いただいた河村様

 

DPA 4011をお使いいただいているご縁で数年前からお付き合いをさせていただいていますが、マイクや機材の話もさることながら、収録にまつわるエピソードに毎回驚かされてしまいます!理想の音を求めて世界を渡り歩く河村様のお話を多くの方に聞いていただきたい、そして「フィールドレコーディング」の面白さ、収音の奥深さなどを、もっと多くの方に伝えたいと強く思い、今回ご登壇をお願いしました。

 


▲会場全景(会場はヒビノ日の出ビルにある視聴室です)

 

今回は、あらかじめトークテーマを用意した対談形式で進行しました。
用意したテーマはこちら↓
第一部
フィールドレコーディングで大切なこと(準備、安全対策など)
シチュエーショントピック「森」
シチュエーショントピック「海・波」

第二部
機材やオーディオフォーマットなどについて
シチュエーショントピック「花火」
シチュエーショントピック「滝」

 

■フィールドレコーディングで大切なこと

何よりも重要なのは虫対策です!

実は河村様、イベント開催の前に北海道と沖縄に連続して収録に出られていたそうです。

北と南では出てくる虫も違うし、対策も違う。必須アイテムとして赤巻きと呼ばれる虫よけ線香やモスキートネットなどを具体的にご紹介。各地を渡り歩く中、植物の種や虫などをほかの土地へ運んでしまわないよう、ウィンドジャマーの扱いなどに注意を払われているというお話がとても印象的でした。

このほか雨対策など、自然を相手にするために必要な準備について、河村様の経験から得られたノウハウや知識を惜しみなくご披露いただきました。

 


▲左に見えるのが河村様おすすめのポンチョ。さっと着たり、機材にかぶせたり、カサカサ音がしないので使い勝手が良いそうです

 

■シチュエーショントピック「森」

▲山梨県 三つ峠での収録の様子(©STUDIO ARM INC.)
“森を録る”を一言で表現するのはとても難しく、どのような森を録りたいのかによって場所や季節、時間帯などが変わってくるとのことです。

いわゆる「森らしい音」を録る時、森の中には入りません。森の中に入って収録すると葉の音や地面の音などがリアルに聞こえるため、南国に近い雰囲気になってしまいます。森の中ではなく、外から森を録る方が、森っぽい音になりますね。

具体的にお勧めなのはスキー場だそうです!
広い空間の周囲に木々があるような環境です。遠くでもいいから川など、水があるとより雰囲気がでるとのこと。川の音とは認識しないくらいの音ですが、あるとないとでは全く違い、実際に聞こえてくる「音」の背後にある空気感を計算されているようです。

▲埼玉某所にて、森の外から森の収録をする河村様(©STUDIO ARM INC.)

 

■シチュエーショントピック「海・波」

▲沖縄県 多良間島の砂浜での収録の様子(©STUDIO ARM INC.)
森と同じように「波」もいろいろです。
まず大切なのは収音の目的。どのようなシーンに使用する音なのか?
砂浜も、玉砂利や砂、砂利、サンゴ、泥混じり、土混じりなど、それぞれ全く違う音で、違う収音テクニックがあるそうです。
千葉の三番瀬で比較収音している様子が紹介されました。

▲千葉県 三番瀬にて比較収音している様子(©STUDIO ARM INC.)
海・波は、月齢や、それに伴う潮の満ち引きによって音は変わります。ざっぱーーーんという強い音は満ち潮の時、穏やかな南国風な音がするのは引き潮です。

荒波を録るなら日本海!と思いがちですが、実は5-8月の太平洋が最適のようです。ただし、セミや虫の音が入らないように録りたい場合は…真冬の日本海。風が痛くて過酷な収録になるそうですが…

このほか、DPA 4011を使用してABステレオ収録した音源を実際に再生して試聴しました。
波打ち際から徐々に離れて、最後は100m離れた位置まで。100mも離れると、波というより潮騒といった音がしました。この音は船が海を進む際の音として使えるそうです。

ここまでで第1部は終了しました。
 

 

<登壇者プロフィール>


河村 大 – Dai Kawamura -
株式会社Studio-ARM代表
イマーシブサウンドデザイナー/MAエンジニア

音響専門学校卒業後、都内MAスタジオ数社にて経験を積み、MAスタジオを設立。 映像音声・音声作品に関する、収録・選曲・Foly・音響効果・MIXまで全て一人で作業する。Stereo作品はもとより、5.1ch~43.4chまでのサラウンド・イマーシブメイクを得意とする。ASMR・VR・Binaural等の同録、環境音収録、映画・番組音声収録などで年間6ヶ月程度、国内外を移動している。特に密林・洞窟自然音収録・花火などの収録経験が多い。近年は実音を組み合わせて、人々がイメージする音場でのASMR・Ambisonicsに注力している。

代表作品:ウルトラマンゼロVRにてルミエール・ジャパン・アワード2017 VR部門 準グランプリ 受賞作品参加/【風景の中の感動を描く人 東山魁夷】映文連アワード2019 部門優秀賞 受賞・日本/視聴覚教育協会」優秀作品賞 受賞作品参加/【MONSTER HUNTER WORLD】環境音収録/サウンドドーム(43.4ch)作品【NighrFlower】音響制作/サウンドドーム(43.4ch)作品【聖地巡礼】音響制作/日経文化庁工芸技術記録映画【無名異焼 ―五代 伊藤赤水のわざ―】Folyサウンド・収録・選曲・MIX、【紬織 ―志村ふくみのわざ―】Folyサウンド・収録・選曲・MIX、【紋紗―土屋順紀のわざ―】Folyサウンド・収録・MIX

 

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