日本のインディーズクラシック界初の「空間オーディオ配信」<DPA 4006A活用事例> - DPA Microphones - ヒビノインターサウンド株式会社

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日本のインディーズクラシック界初の「空間オーディオ配信」<DPA 4006A活用事例>
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2022年3月24日
 

日本のインディーズクラシック界初の「空間オーディオ」配信

DPA 4006A活用事例

コロナ禍の2020年12月、渋谷区初台にある近江楽堂にてハープのイマーシブレコーディングが行われました。そしてその音源が、昨年12月に日本クラシック界のインディペンデンスアーティストでは初めて、「空間オーディオ」としてApple Musicとamazon musicとTIDALから配信されました。

 

サラウンド収録にはDPA 4006Aを7本使用したFUKADA TREE2006を採用

レコーディングを手掛けたのは、数々の著名ミュージシャンのライブでDolby Atoms収録を手掛け、イマーシブレコーディングの先駆者と呼ばれているレコーディングエンジニアの古賀健一氏。今回、サラウンド収録にはDPA 4006Aを7本使用したFUKADA TREE2006が採用されています。残響時間が 4秒を超えるという近江楽堂でイマーシブレコーディングを実現するための工夫や使用した機材などについて詳しくお聞きしました。

 

 
日本のクラシック開発の「空間オーディオ配信」
近江楽堂での撮影風景
 
 


 
はじめは、お客様を迎えてのコンサートを予定していましたが、急激に感染者が増えたため、レコーディングの模様をバイノーラルで生配信する方向に切り替えました。世の中の状況から、このような形式になる可能性は予測していたので、どちらになってもいいように準備はしていました。近江楽堂は宮本あゆみさんがよく公演をおこなっている場所ですが、ハープにとてもマッチする独特な響きが特徴の素敵な会場です。


 
  • 収録で直面した問題などありましたか?またどのように解決されたのかもぜひ教えてください。
近江楽堂は、楽器の設置位置が全体のサウンドにとても影響する独特な形状をしています。楽器の位置決めが一番気を遣うところですが、宮本さんご自身が何度もこの会場で公演をされているので、的確にポジションが決まり、すんなりスタートできました。ただ、生配信も行っていたので、録音と配信回線をセパレートして万が一に備えていました。


 
  • 収録に使用したマイクについて教えてください。
今回は深田晃さん考案のFUKADA TREE 2006のマイクレイアウトを参考にさせていただきました。7本のDPA 4006Aで近江楽堂全体の響きを捉えつつ、手元のタッチを録音するためにオンマイクで設置しています。
また当日バイノーラル生配信も行っていたので、Sennheiser AMBEOもハープの近くに下方から見上げる形で狙うように設置しました。AMBEOの1次アンビソニックスとFUKADA TREEのサラウンド5.1ch Busをバイノーラルエンコードするプラグインに送り、モニタリングしました。

 
マイクリスト
DPA Microphones 4006A×7本 (FUKADA TREE 2006でサラウンド収録)
・AKG 451E Silver×2本 (オンマイクでハープを収録)
・Sennheiser AMBEO (空間収音/Ambisonics方式)
 
 FukadaTree LCR
△FukadaTree LCRに配置されたDPA 4006A
スタンドにはTRIAD-ORBIT 「T3」と「IO-VECTOR」の組み合わせを採用

 
  • 今回の収録でFUKADA TREE 2006を採用した理由を教えてください。
DECCA TREEはよく弦の収録で採用するのですが、恥ずかしながら自分でサラウンドアレイを立てた経験がありませんでした。僕のアシスタントの中村涼真が深田さんの教え子だったこともあり、せっかくの実験的なレコーディングなので、トライしてみようと言うことになりました。実際Ls・Rsに音圧イコライザーは使わなかったのですが、MixでDolby Atmosに展開した時もとても素晴らしいバランスでした。

 
  • よく使用するDPA Microphones製品とその印象を教えてください。
4006A4011Aが多いですが、正直、最近まで良さをわかっていませんでした。なぜなら、僕が育った青葉台スタジオには一本もDPAやB&Kのマイクがなかったからです。当時、乗り込みのエンジニアさんがピアノや弦を録るときに、よく 「4006ないの?」と聞かれた記憶が鮮明によみがえりました。

外のスタジオに行く機会が増えてから、DPAと仲良くなるために積極的に使いはじめました。Studio GreenbirdのAltiverb IR収録の際に公式ツールであるDPA 4006A×4本を使用して、最近ようやく仲良くなれたと思っています。そもそもマイクの役割とは?仕組みとは?と言う意味でも見直す機会が多く、4006Aは大変重宝しています。

実は先日、ご縁あってDPAのサラウンドセット5006A(※)を購入したのですが、DPA 4006A×5本のマッチングが取れている世界で行うストリングスのレコーディングは、今での自分のマッチドの価値観が大きく変わるきっかけになりました。
 
  • TRIAD-ORBITのマイクスタンドを使っていただいていますね!
多分、日本で一番TRIAD-ORBIT製品を使い分けている自信があるくらい愛用しています。(TRIAD-ORBIT製品についてのインタビュー記事はコチラから
新製品をどんどん出してくれるのもとても魅力的ですし、初期の頃、要望を出すとすぐに改良してくれるなど、十分なサポート体制だったこともあり、とても信頼しています。
 
  • 今回の空間オーディオ配信についての反響はいかがですか?
まず、AppleMusicの空間オーディオが始まる半年以上前に、Atmosを想定してレコーディングを行っていたことに驚かれます。僕たちとしては立体音響の実験素材が欲しかっただけなのですが…。

またインディペンデントでDolby Atmosが配信できたことに驚いている方も多かったです。AvidPlayを使ったのですが、本当に配信できるのか、実際には誰も確信が持てないような状態でした。

今回は宮本あゆみさんが快く協力してくださったので、全てそのおかげです。サウンド&レコーディング誌の連載でも書いていますが、二人で四苦八苦しながら、手続きしました。実際、一度目の配信は失敗しています(笑)

それから、自分たちで配信できたことにより、色々な機種の動作確認に使えるようになったことも大きいです。iPhoneのことは大体わかるのですが、Androidはメーカーによって仕様が異なります。Atmosに360のエフェクターをかけることができたり、モニターにコンプレッサーのようなものが知らないうちにかかっていたりします。TIDALはStereoとAtmosが別曲扱いになっているなど、この配信をきっかけにいろいろなことがわかりました。

 
  • 今後取り組んでいきたいことなどあれば教えてください。
Dolby Atmosに限らず、360Reality Audioにも取り組んでいます。映画の劇伴などの5.1chサラウンドも、もっと上手にレコーディングやミックスが出来るようになりたい。Liveの生配信で空間オーディオが気軽にリスナーに届けられるようにもしたい。何より、ファンの方に新たな音楽体験を届けたいと言う思いです。
もっともっと手軽に楽しんでもらうためには、アーティスト・ハードメーカー・ソフトメーカー、皆が一体となって取り組んでいかないといけない問題だと思っています。まだまだ日々わからないことだらけで、空間オーディオに関しては毎セッション、トラブっているといっても過言じゃないくらいですが、心強い仲間たちもたくさんできたので、みんなで力を合わせて、日本から良い作品を出していきたいです。


本レコーディングで収録されたすべての音源がドルビーアトモスで配信になりました↓(2022年5月追記)

■Apple Music
https://music.apple.com/jp/album/violin-harp-immersive-concert-at-tokyo-opera-city-ohmi/1625004884

■amazon music hd
https://music.amazon.co.jp/albums/B0B1PCZMGT?refMarker=dm_wcp_af_r&ref=dm_sh_2JjxF15m4B6R3azNzAyKEDZR1&


 
 
演奏:宮本あゆみ
曲名:Antiche Danze Ed Arie Per Liuto Set 3 Siciliana (Respighi) - Single
    リュートのための古風な舞曲とアリア〜シチリアーナ
作曲:レスピーギ
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▽下記から音源をご確認いただけます。
●Apple Music
 
●amazon music hd
 
 

エンジニアプロフィール

■古賀健一
2005年青葉台スタジオに入社。
2013年4月、青葉台スタジオとエンジニア契約。
2014年6月フリーランスとなり、上野にダビング可能なスタジオをオープン。
2019年 Xylomania Studio LLCを設立。
2020年 Dolby Atmos 9.1.4ch のスタジオに改修。2021年 「第27回 日本プロ音楽録音賞 」 Immersive部門 優秀賞受賞。
 
 

演奏者プロフィール

■宮本あゆみ

四歳よりピアノ、六歳よりハープを始める。
国立音楽大学卒業。東京音楽大学大学院科目等履修卒業。
これまでにピアノを小原孝、ハープを篠崎史子、柏原靖子の各氏に師事。
ソロ、室内楽、オーケストラなど各所で活動をしている。
スタジオミュージシャンとしても、映画やドラマ、アニメ、ゲームの劇伴音楽、著名アーティストのレコーディングにも数多く参加。2019年1月ファーストアルバム「灯-AKARI-」、2021年2月セカンドアルバム「Reminisce」をリリース。自身のオリジナル曲を多数収録しており、精力的に作曲活動も行なっている。
昨年に続き、今春も「葉加瀬太郎オーケストラコンサート2022 The Symphonic Sessions」のメンバーとして全国各地をまわる。


◎フカダツリーについて
レコーディングエンジニア深田晃氏によって考案された、サラウンド収音方式のひとつ。
L、C、R、WideL、WideR、LR、RSの合計7本の全指向性マイクを使用。

◎DPA Microphones 5006A
マッチングされた4006A×5本のセット
https://www.hibino-intersound.co.jp/dpa_microphones/3645.html

◎DPA Microphones ST4006A
マッチングされた4006A×2のステレオペア
https://www.hibino-intersound.co.jp/dpa_microphones/2817.html

◎DPA Microphones 3506A
マッチングされた4006A×2本のステレオセット
https://www.hibino-intersound.co.jp/dpa_microphones/3449.html